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レストランで、テジュンはドンヒョクのグラスにワインを注ぎ、そして彼を見た。 昨日からたった一日しかたっていないのに、ドンヒョクはひげを剃っていないためか 老けたように見える。彼の目は冷たく、鋭い感じがするけど。 テジュンはワインを少しずつ飲み、そして尋ねた。 「ドンヒョク、ジニョンにあの手術の詳しい内容を話したのか?」 「ああ…話したよ」ドンヒョクはそう答えた後ワインを飲み、そして静かに言った。 「僕は彼女が完全に回復するまで待とうと思っていたんだが、遅かれ早かれ彼女はそれを知らないといけないから…」 テジュンはドンヒョクを見たとき、ドンヒョクの顔には言葉に出せない悲しみが浮かんでいるのがわかった。 「辛かっただろうな。ジニョンにとっても…君たち二人にとっても」 ドンヒョクは黙ったままだった。 “ああ、本当に辛かった。彼女はそのことを聞いてショックを受けていたよ。そしてそれを目の当たりにした時、僕の心は張り裂けんばかりの苦しみを感じた。 しかし、僕はジニョンのためにもっと強くならなくてはいけないんだ。彼女が人生の もっともつらい時期を乗り越えることができるように僕は最善をつくさないと。” どういうわけか、テジュンはドンヒョクの苦難を乗り越えようとする強い意志に尊重の念を感じていることに気がついた。 「困ったことがあれば言ってくれ。そして昨日のことなんだけど…出すぎたことをして悪かった」 ドンヒョクは頭を振った。 「謝る必要なんかないよ。僕の妻を心配してくれてたんだから。」 ドンヒョクは一瞬話すのを止め、テジュンを見て、そして続けた。 「ジニョンを心配するときに、僕たちの関係はいわゆる“ぶつかり合うもの”なのか “協力し合えるもの”なのか僕にはわからない。むろん、昨日は彼女が生と死の狭間にいたので、僕たち二人とも正気ではなかったが…」 「いいや、ドンヒョク、そうじゃない。」 テジュンは口を挟もうとしたが、ドンヒョクが続けて言った。 「テジュン、これで終わりにしよう。僕がこんなことを言うのは、嫉妬からではなく、むしろ妻の親友と率直に話をしたいからなんだ。つまり、君が僕たち夫婦にとって よい友達でいてくれることを望んでいるからなんだよ。ジニョンは僕の妻であり、僕は彼女を信じているし、同様に彼女の親友である君のことも信じているんだ。 彼女には人生の別の局面で彼女を支えてくれる友達がいる、僕はそのことを知って喜ぶべきなんだよ。僕はこのことを本心から言っているんだ。」 ドンヒョクが話すのを止めた。テジュンはじっとドンヒョクを見た。 彼はドンヒョクの目から真剣な思いを感じ取っていた。テジュンは自分の前にいる人間が、どれ程頭が切れ、そしてどれ程の決心をしているか考えざるを得なかった。 ドンヒョクは自分よりはるかにジニョンにふさわしい。ドンヒョクの彼女に対する愛にはきっとかなわない。きっと彼はジニョンの不器用さ、そしてあの気性を優しく受け止めて、我慢できるだろう。彼らが一緒になって以来、ジニョンがどんなか幸せだろうか。 テジュンはワイングラスを持ち、そしてドンヒョクに言った。 「僕に何か言えることがあるか?僕は君に同意できないほど道理のわからない奴じゃないよ。僕は以前なら決して言わなかっただろう、だけどそれを言うまさにその時なんだよな。ドンヒョク、君とジニョンのことを僕は祝福するよ。彼女を大切にし、彼女がいつも微笑んでいられるようにしてくれよな。」 ドンヒョクもグラスを手に取り、彼はテジュンの言葉にとても安心し、ほっとした。 彼はついにハンテジュンという目の前に立ちはだかった山を乗り越えた。乗り越えた先には今、すばらしい緑の渓谷が広がっていた。 「ありがとう、テジュン。僕は長い間、この時をずっと待っていたんだ。ありがとう」 彼らはワインを飲んだ、対立するのを止め、そして新しい友情の葉を広げるために。 食べ物がおいしく、ドンヒョクは食欲が一気に出たので、あっという間にアントレとメイン料理を平らげた。テジュンも上機嫌になり、もっとワインを注文しようとしていた。 ドンヒョクは彼を止め、そして言った。 「申し訳ないが、僕はこれ以上飲むとこはできないんだ。まだしないといけないことがたくさんあるので、頭をさえた状況にしておく必要があるんだ。今度ジニョンが退院したときにお祝いをし、思う存分飲もう。」 「僕が君の事を本当にすごいと思っていることが一つあることを君は知ってるか? それは決してぐらつくことのない根気なんだよ。人生で君を成功に導くものは君の熱心さなんだよ。それは仕事においても、恋愛においてもいえることだ」 それはテジュンからめったに聞けない言葉だった。ドンヒョクはそれがテジュンからの心からの褒め言葉であると強く思った。彼はテジュンの方に手を差し出し、そして言った。 「ありがとう。僕は君に本当に感謝しているんだ。君が僕たちのために、とりわけ、ジェニーやジニョンのためにしてくれたすべてのことに対して。」 テジュンはドンヒョクと握手した。それ握手は彼らの友情の始まりを静かに宣言するものだった。 ドンヒョクは勘定するためにウエイターを呼んだ。そしてテジュンに言った。 「ジニョンのために、あれこれ取りに家に帰るんだ。君はホテルに戻るのかい?」 「そのつもりだ。そこはすごいことになっている。僕の右腕の総支配人は育児休暇を取り、妻と新しく産まれた娘の世話をするために時間を費やしているんだ。私の左腕であるシン夫人は入院中だ、にもかかわらず、僕は君、つまりシン氏のような株主のために、利益を伸ばす経営をするよう頑張っているんだ。」 ドンヒョクはテジュンの言葉ににっこりと微笑んだ。 “そうだよな。ホテルに対する君の熱意は十分よくわかっているよ。 君の周りで何かが変わろうとも、ホテルに対する君の献身さは決して変わらないだろう。ハンテジュンという山はやはり僕の前に立ちはだかる山のままなのか。” ドンヒョクはその考えを振り払うかのように首を振った。 テジュンに手を振り、タクシーに乗った。 ドンヒョクはドアを開け、アパートの中に入った。すべてが静かでぽかんとしている。 すべてはそのままだ。しかし、どういうわけか何かが足らない感じがする。 住人の片方が回りにいないだけで全く違う。彼はため息をつき、電話をかけた。 ジェニーが元気な声で電話に出た。きっと大丈夫なのだろう。家から持ってきてもらうものを言う、ジニョンの声を聞いているだけで、ドンヒョクは自分の心が温まるのを感じた。彼女はひとつ言い忘れていた。 「ドンヒョク、あなた髭を剃るのを忘れないで」 「わかったよ。ダーリン。髭を剃っていない顔は感じが悪く見えるのかい?」 「いいえ、そんなことないわ。私は思うんだけどあなたはワイルドに見えるし、むしろチャーミングに….あっいけない」ジニョンは言うのを止めた。また口がすべった。 そのあと彼女が続けて言った。 「私が思うにすべてのビジネスマンは小綺麗にしているわ。あなたも逃亡者のような顔で仕事の依頼人になるかもしれない人に会いたくないでしょう?」 “逃亡者?”ドンヒョクは彼女が言った言葉に微笑まざるを得なかった。 “彼女はどこからそんなことばを思いつくんだろう。僕のかわいい奥さんはすごいよ。彼女は病気で寝ていても、僕を笑わせることが出来るんだから。わかったよ。何でも君の言う通りにするよ。” 髭を剃った後、ドンヒョクはいくつかの着替え、洗面道具、彼の携帯用パソコン、そして数冊の彼女のお気に入りの本を用意した。 病院に戻る途中、彼はまたジニョンに一束のバラの花を買った。ホテルに着くと、病棟の受付に立ち寄り、ジニョンの部屋にエキストラベットを手配した。 彼が病室の方に歩いて行くと、ジェニーがジニョンと元気よく話していた。ジェニーは普段静かで、控えめなタイプの女の子だが、ジニョンといる時はいつも快活でおしゃべりになる。僕だけじゃないんだ。ジニョンには寂しい心を照らす能力がある。ジェニーは微笑み、そしてドンヒョクを見た。 「お兄さん、帰って来たのね。テジュンおじさんはホテルに戻ったの?」 「うん、彼はとても忙しく、どんな時間も無駄にはできないと言っていたよ。」 ドンヒョクはテーブルの上に小旅行カバンと花を置き、そしてジニョンの方に歩いて行った。彼女はまだかなりしんどそうだ。彼は彼女の顔に触れた 「気分はどうだい?横になって少し休んだほうがいいんじゃないのか?」 「大丈夫よ、ドンヒョク。私は元気よ。ジェニーと楽しい話をしてたの。早く家に帰りたい。そうすればジェニーの新しい創作料理をたくさんを食べることができるもの。」 彼女は彼の顔を見て微笑んだ。“…そういえばあなたは髭を剃っている…” 「そうだよ。君の言ったとおりにしたよ。」 彼は身体をかがめて彼女にそっと囁いた。 「僕は剃らないままでいたかったんだけどなあ~そうすれば君のためにワイルドで かつチャーミングでいることができるだろう」 ジニョンは微笑み、彼の肩を軽くたたき、ぶつぶつ言った。 「あなたは本当に素敵よ。ジェニーがいるのよ」 ジェニーは花瓶にバラを生けていた。ジニョンが続けて言った。 「テジュンとランチを楽しんだの?」 「うん、彼と二人で2つのコース料理と平らげ、何杯かお酒を飲んだよ。その後、彼は急いでホテルに戻ったよ。」 「総支配人も休暇中だからそこはとても忙しいに違いないわ。」ジニョンは少し罪悪感を感じた。 「テジュンならうまくやるだろう。だって彼はベテランじゃないか。 ジニョン、仕事のことは心配するな。ゆっくり休んで元気にならないと。 他のすべてのことはまかせるんだ。」 ジェニーがキャビネットの上にバラの入った花瓶を置き、そして言った。 「もうホテルに戻らないと。お兄さん、夕食に何か作って持っていくわ。何時ごろまでいるの?」 「大丈夫だよ、ジェニー。僕はジニョンとここにいるよ。エキストラベットも手配したし、階下で夕食に食べるものも買うつもりだから。ジェニーは今夜授業があるんだよね?」 「わかったわ。じゃ、また明日来るわ。ジニョンお姉さん、ゆっくり休んでね。たくさんの新しい料理はお姉さんが試食してくれるのを待っているんだからね。」 「ありがとう、ジェニー。おいしそう。早く退院したわ」 「じゃあね、お兄さん、じゃあね お姉さん」 「タクシーを呼ぼうか?僕は会社に車を置いてきたんだよ」 「大丈夫よ、お兄さん、また明日ね」 「じゃあな、ジェニー」 ジェニーが出て行くと、ドンヒョクはドアを閉め、時計を見た。午後3時35分。 ドクターたちが回診でジニョンに注射をしにくるのが午後4時半ごろ。 ジニョンは小旅行カバンを見てたずねた。 「明日の仕事に来て行くスーツを持ってきたの?」 「いいや。僕は君が退院するまでここにいるつもりだよ。」 「でも仕事は?」 「大丈夫。僕は携帯用パソコンを持っているし、急用の時はメールを送ってくるから」 「でも、私は今元気になってきてるのよ。あなたは仕事が終わってから会いに来れるじゃない」 ドンヒョクはベットに座り、彼女の口に指をあてた。 「しー、黙って。その間君と離れたくないんだ。僕は君が回復し、僕のために元気なジニョンに戻るのを確かめたいんだよ。わかるよね?」 「わかったわ。シン氏。あなたの言う通りにするわ」 ドンヒョクは微笑んだ。僕のシン夫人は本当にかわいい。 彼は彼女のほほに優しく触れて、言った。 「ジニョン、ドクターが来るまで一時間だけでも寝た方がいいよ。君は今日一日中休んでないよ。」 「でもね、私は気分がいいのよ、ドンヒョク…」 ドンヒョクは首を振った…「しー黙って。」 ジニョンの肩を優しく抑え、彼女をベットに寝かせた。彼女の髪を片方に寄せ、毛布をかけた。ジニョンは観念した。 「わかったわ。少しだけ寝るわ。あなたもゆっくり休んでね」 「わかった。そうするよ。」ドンヒョクは彼女の腕を優しく撫で、静かに言った。 「ゆっくりおやすみ、ねえおまえ、いい夢を」 ジニョンは深呼吸をし、目を閉じた。“そうね、あなたは正しいわ。” 彼女は今眠たくなってきた…. ドンヒョクは彼女の寝息が落ち着くまで、彼女の肩や腕をずっと撫でていた。 彼は彼女の寝顔を見た。彼は繊細な肌に触れ、彼女のおでこに優しくキスをした。 “ぐっすり眠るんだよ。僕の宝物のジニョン。” ドンヒョクは携帯用パソコンをセットし、メールをチェックした。 多くのメールが入っていたが、大部分はJB WERE社の他の重役からのお祝いのメッセージだった。 450億ドル(USドル)というドイツ銀行との契約は、JB WERE社アジア太平洋支局にとって大きな成功であり、これは一年のマネージメント料の1.7%を占め、投資から得られる利益に8億ドル(USドル)をプラスした金額に相当する。そのことで同社の他国にある支社は彼が行った仕事を大変妬んだ。 まもなく会社から大きなボーナスが支給されるだろう。これで庭付きの家の頭金を払うことができる。ジニョンはきっと驚くだろうなあ。物事がいいように向かっている。 彼の大部分の資産は今ソウルホテルの株であるが、その株価もそんなに悪くはない。 テジュンのおかげだ。2,3年で株価が上がれば、その莫大な収入で家を買って、よりすばらしい将来が開ける。 ドンヒョクは数件のメールに返信した。彼は携帯用パソコンを閉じ、時間を見た。 午後4時15分。ジニョンはまだぐっすり眠っている。彼女の天使のような顔はとても穏やかで、ドンヒョクは彼女の顔を優しく撫でた…“僕のジニョン…こんな僕でいいの? この世だけでなく、次の世もそしてその後の世もずっと…たぶん僕は永遠に君の魅力に 取りつかれるだろう。そして永遠にそうあることは僕にとって本当に幸せなことなんだよ。”
年配のドクターはドンヒョクがジニョンを献身的に支えているのを見て、彼にねぎらいの言葉をかけた。 彼はまた次のことを付け加えた。ジニョンは順調に回復しているようだが、彼女に対し十分注意を払い、彼女の気がまぎれるようにして下さいと。そうすれば彼女は子供を失ったことを考える時間を持たなくてすむ。もしそのことを考えると、彼女は容易に流産後の精神不安定の第一段階の鬱状態になる可能性があると。 ドンヒョクはそのコーナーにテーブルを置き、そこに立ち尽くした。 “僕はどんなことをしても、彼女が精神治療を受けずにすむように彼女を守らなければならない。” ドンヒョクは突然背中に寒気が走ったのを感じた。高校生のとき、養父母に精神科に連れて行かれたことを思い出していた。近所の人や学校の同級生たちは、まるで彼を深刻な精神的な問題を抱えた、 精神異常者のように扱ったのだ。“僕は僕のジニョンにこんな思いをさせる訳にはいかないんだ。絶対に。” 彼はドアを閉め、病室の方に歩いていった。ジニョンは小旅行カバンを探し、多くのものを引っ張り出していた。彼女は尋ねた。 「ドンヒョク何かあったの?なぜそんなに遅かったの?」 「何もないよ、ジニョン。あのコーナーにテーブルを押すのにちょっとてこずったんだよ。」 彼は無理に笑顔をつくり、洗面道具入れを引っ張り出し、そしてたずねた。 「まずさっぱりする?」 「そうするわ、でも私に付いているこれらのものがすごくわずらわしいの。私は今すごく元気なのに、 どうしてかれらはこの点滴を外してくれないのかしら」 「君を早く元気にするためにそうしているんだよ、おばかさん。僕の腕に掴まって。僕が点滴といっしょに君を洗面台まで連れて行くから。」 ジニョンは彼の腕を掴み、洗面所まで歩いていった。すっきりした後、ドンヒョクはジニョンをベットの上に運び、彼女の背中に2、3個枕を置いた。彼は家から持ってきた本を取り出し、サイドテーブルの上に置いた。 「読書をしたい、それともテレビを見たい?僕は階下にある新聞雑誌販売店で最新の書物や雑誌を買ってこようか。」 ジニョンは家から持ってきたものを彼女がすぐ届くベッドのサイドテーブルに置く彼をじっと見ていた。 彼女は自分の手を彼の手の上に置いた。 「ドンヒョクありがとう。」 彼が彼女を見ると、彼女の目はとても愛情に満ちたまなざしで彼をみていた。 彼女は優しく続けた。 「ドンヒョク、私はあなたが言っていたことを思い出したんだけど、あなたはそうする必要がなかった からか、他の人をどう世話していいのかわからないと言っていたわ。しかしそれは間違っていると思う。 私が思うに、あなたは接し方がわからないのではなくとても上手よ。」 彼は本当にそうなのか?彼女のために何かすることは彼の無意識からしているのであり、決してそれを 義務だとは思ってない。ドンヒョクは彼女の手を握り、もう片方の手で彼女の髪をなで、彼女の目をみた。 「ジニョン、礼など言わなくていいよ。君は僕に君を愛し、守り、大切にするチャンスをくれたじゃないか。そのことは僕の人生でもっともうれしいことなんだよ。自分の意思でそうするのではなく、心で 感じたままでそうしてるんだよ。僕は君を幸せにするという、心と魂に従っているんだよ。 そして今度はそのことが僕を幸せな気持ちにしてくれるんだ。わかるかい?」 ジニョンの目には涙が溢れていた。この感情よね、誰かを愛し、愛されるという感情。彼女は彼の肩に もたれかかり、そして言った。 「わかるわ、しかし、あなたは私が時折、とても頑固な時もとてもやさしいわ。」 「なぜならそれは僕が君に夢中だからだよ。おばかさん。僕は君に対する僕の愛をどうやって言葉で 表したらいいのかわからない。でも君がすること、言うことすべてが愛しいんだ。」ドンヒョクは再び 彼女の口に彼の指を置いた。 「もうそれ以上“でも”は無しだよ。いいね。君がどんな状況にいようが、君が強情であろうが 僕は君を愛している。」ドンヒョクは彼女の両肩をつかみ、からかいながら言った。 「でも僕はきみに強情になってくれといっている訳じゃないよ」 「だめよ。撤回はできないわよ。彼女は幼い少女のようにべらべら話しながら、逆に彼をからかった。 ドンヒョクは身体をかがめ、そのかわいい唇にチュっとキスをした。ジニョンは彼の背中をたたいた。 「悪い人ね。私が逃げれないことを知っていて…」 「そんなじゃないよ。僕はあることを証明しようとしただけなんだよ。」 ドンヒョクはジニョンの好奇心をそそるようなウイットな微笑みで言った。 「何を証明するつもりなの?」 「君が僕にそのことを実行させてくれるなら言ってもいいよ。」ジニョンは少し疑わしく思ったが、 好奇心には勝てなかった。 「いいわよ。あなたの好きなようにそのことを実行して。だから、あなたが証明したいことを私に教えて。」 ドンヒョクは再び微笑み、そして言った。 「もし僕が君にキスをし続けたら、君の唇の色がばらのような赤色に変わるかどうか証明したいんだ。」 ジニョンは顔が真っ赤になった。ジニョンはあの彼の微笑みから気づくべきだった。彼女は再び彼の 広い胸をたたいた。 「悪い人ね。私はあなたが何か企んでることに気づくべきだったわ。」 「もう遅いよ、シン婦人。すみません、僕はそのことを実行するために前の方に行っていいでしょうか」 ジニョンは笑い、そして彼を向こうに押しやろうとした。 「こんなのフェアーじゃないわ。だめよ。」 「君はいいよって言ったよ。約束は約束だ。」 ドンヒョクは彼女の両手を掴み、身体をかがめ、彼女の唇に自分の唇を重ねた…. 彼女は静かになり、彼女の手は彼の背中の上で動いた。彼は彼女をしっかりと抱きしめた… 彼女の唇がほてっていく…彼らの心臓の鼓動が早くなっていく….彼らの目はキスの後の余韻に浸りながら お互い見詰め合ったままだ。ドンヒョクは優しく彼女の顔を撫で、そして言った。 「僕たちがキスをする度、僕はいつも僕がいままで体験していない、ファーストキスのように感じるのはなぜだろう?」 「あなたは今、何か企んでいるんでしょう?」ジニョンはつぶやいた。 「なにも企んでないよ。いったい何を企むの?僕はいま、僕の実験のおかげでとても穏やかな気持ち なんだ。でも僕はまだ証明していない。でもやっぱり僕は正しかった。ほら見てごらん、君の唇の色が すぐに今の赤らんだピンクに変わったよ」 ジニョンは真っ赤な顔をしたが、彼女も気になったみたいだ。「本当なの?」 ドンヒョクは微笑みながら言った。 「僕の実験を続けよう。そしたら君は自分で見ることができるよ」 「でもここは病院よ。看護婦さんが入ってくるかもしれないわ」 「ここは個室だよ。僕がドアノブの鍵を押したから、誰もノックせずに入ることはできないんだよ。 他に何か言いたいことはある、シン婦人?」 「なぜあなたはすべてのことに答えを持っているの?」 「なぜなら僕は君の旦那様のシンドンヒョクだからだよ。降参して…もうこれ以上質問はだめだよ。 この大切な実験に集中しようとしているんだから、邪魔しようとしないでくれ」 ジニョンは反論しようとしたが、ドンヒョクは彼女の唇に彼の指を置いた。 「しー」 その後、彼はキスでほんのり腫れて、赤らんだ彼女の唇を指でなぞった。これはやみつきになりそうだ。 彼はそう思い、そして衝動的に彼女の唇の方に自分の唇を近づけていった。 ドアをノックする音がしてはじめて、彼らは我に帰った。彼はしぶしぶ立ち上がり、 ジニョンの真っ赤になった顔を見た。彼は彼女の頬を触らずにはいられなかった。 そしてドアの方に行く前に優しく言った。 「君の顔は神秘的で、自然な色をしていて、とても美しいよ、ダーリン」 彼は途中で立ち止まり、くるりと身体の向きを変え、彼女にウインクした。 「僕はまだ実験を終えていない。だから僕はまだドアの方に行かず、かろうじてここにいるんだ。」 ジニョンは自分の顔が熱くなるのを感じていた。彼女は化粧バックを探し、コンパクトを取り出した。 “ドンヒョクは嘘をついていなかったわ”彼女の頬はばら色になり、彼女の唇は赤らんだピンク色にほんのり色づいている。“たいへんだわ” 病院スタッフが、ドンヒョクが午前中に頼んでいたエキストラベットを持って来た。 彼らが帰った後、彼が時計を見ると、午後8時。彼はドアに鍵をかけ、そして言った。 「今夜はもう誰もこないで欲しいよ」 彼は戻ってきて、彼女のベットに座った。ジニョンの顔はまだ真っ赤で、彼女はコンパクトを 化粧バックに戻した。彼は微笑みながら言った。 「ねえ、僕は正しかっただろ?」 「そうね、シン氏。あなたはいつも正しい。あなたの試みは十分に証明されたわ。だからもう実験する 必要はないわよ。」 ジニョンはからかいながら微笑んだ。 「まだぜんぜん終わってないよ。実験をする過程には、正確に100%を証明するために多くの段階が あるんだよ。僕はすべてのことを完全で正確にすることが好きなんだ。そうなって初めて僕はその試み を成功したと認められるんだよ。だからこの場合もっと実験しなくちゃいけないんだよ」 「それもハーバードで学んだことなの?」 ジニョンは彼の長い説明にすこし戸惑っていた。 ドンヒョクはそれ以上何も言えず、吹き出してしまった。 “もう、僕のジニョン、君はほんとうにかわいい。君といるどんな時もたのしいよ。” ジニョンは頭を振った。“彼のその言葉のすべては一体どこから出てくるんだろう?” 薬が効き始め、彼女は少し眠気を感じた。ドンヒョクは笑うのを止め、そしてたずねた。 「眠たくなってきた?もう寝たい?」 「薬のせいで眠たいの」 「そのおかげで早く回復するんだよ。先にさっぱりしてから、寝るんだよ。」 ドンヒョクはジニョンをベットに乗せ、彼女を寝かせ、そしてベットに座った。彼女は薬が効いていて、すこし疲れているように見える。そして静かにうとうとと眠りこんでいった。彼は彼女の手を取り、 優しくキスをして、毛布の中に入れた。“君は僕のからかいやジョークに疲れたに違いない。 僕は君に他には何も考える時間を与えたくなかったんだ。素敵な夢をみるんだよ、僕の愛するジニョン。 明日はまた別の一日の始まりなんだ。僕は君を幸せにするよう全力を尽くすつもりだ。” 彼は明かりを消し、彼も疲れを感じた。彼女の気を紛らわせることは結構楽しい。彼は彼女の気を 紛らわせるつもりだったことをすっかり忘れていた。愛するジニョンと一緒にいることは僕にとって最高の喜びだよ。おやすみ、ジニョン、愛してる。 |
Author (in
English) - Rene
Translator (Japanese) - Hirorin
Coordinator- Milomomo (aka lovemail)